●海苔作り体験(いちき岡田商店:神恵内村)
北海道の海の幸といえば、カニ、サケ、ホタテ、ウニ、ホッケなどがすぐ思い浮かびますが、天然岩海苔を挙げる人は多くいないでしょう。岩場に自生する天然岩海苔が特産品になっている地域は、全国でも島根県、兵庫県、北陸地方など日本海沿岸に多く、北海道では松前町や江差町等のほか、後志エリアの海岸でも岩海苔は獲れています。
そんな中、神恵内村では、天然岩海苔を板海苔に加工して試食する、という北海道では珍しいアクティビティが行われています。さっそく内容を紹介しましょう。
海苔作り体験の事業者は、いちき岡田商店。食品、生活雑貨、釣り用品など幅広い品ぞろえのお店です。店主の岡田さんが、神恵内村魅力創造研究会のメンバーとして活動する中で、2017年、前浜で獲れるが村外に出荷していない岩海苔を、特産品にして観光振興に役立てよう、と板海苔に加工して販売を始めました。
日本海沿岸では1月~3月に海苔を摘む漁期であることから「寒(かん)海苔」と呼ばれていたのを、神恵内の神の字を拝借し、「神(かん)海苔」と名付けて販売。風味の濃さが特徴の海苔で、これを使ったのり弁当をイベント会場で販売するとたちまち売り切れたそうです。
この「神海苔」を作る体験は、海苔漁の時期に合わせて冬期限定です。参加には人数に合わせた材料と会場の確保のため、事前予約が必要です。
約2時間の体験では、まず漁で獲ってきた岩海苔が提供され、そこから小石など付着しているものを取り除く作業から始めます。
岩盤から剥がすように海苔を摘みとってくるので、小石や砂などが海苔についているのです。
続いて、海苔を細かく細断する作業です。3~5mmほどの細かさになるまで、包丁で切っていきます。細かすぎると逆に旨みが逃げるため、製品を作る実作業でも手作業でちょうどいい形に仕上げていきます。
こうして切った海苔は、水を張ったボウルに入れてさらに細かい不純物を取り除き、板海苔にする準備ができあがります。
最後に、木枠の中にすだれが固定された道具の中へ、この海苔の素材を流し込みます。
すだれの間から水分が流れ落ち、海苔が木枠の形に成形されますが、厚さが均一になるように注意しながら作業し、終わったら木枠を外します。
手で押さえていた木枠から力を抜くと、浮力ですだれが浮かび、海苔がすだれに貼りつきます。
この瞬間は思わず感動がこみあげて、歓声をあげる参加者もいるそうです。この状態で乾燥作業に入り完了したら、板海苔の出来上がりになります。
寒い倉庫に2日、温かい室内で1日干し、さらに不純物を取り除いて完成品となるため、参加当日には完成品を受け取れないのですが、出来上がり次第、後日郵送でお届けになります。
海苔作り体験は、ランチタイムで締めとなります。神海苔や神恵内村自慢の海産物を活かした料理がふるまわれます。
神恵内では山菜取りのように家庭で消費し、市場に出回ることがなかった岩海苔。海苔作りをする地元の人の高齢化が進む中、やめてしまう人も増えています。放っておけば消失するかもしれない地元に残る漁村の風物詩。これを観光に生かすことで、この手法と技術を学ぶ流れができて、次世代にも引き継ぐことができる、というちょっと素敵なアクティビティです。
<アクティビティ料金>
●海苔作り体験(約2時間)
・料金 お一人様5,000円(税込)ランチ付き
・参加人数 2~8名(超過の場合は団体様として受付)
・対象年齢 小学生以上
・実施期間 3月中旬~4月下旬
<お申込み・お問合せ>
いちき岡田商店
古宇郡神恵内村大字神恵内村87-1
TEL. 0135-76-5321 FAX. 0135-76-5322
https://kamoenai-store.com/
(神恵内村魅力創造研究会https://www.facebook.com/kamoenaimiryokusouken)